【歌詞の意味】Official髭男dism「Pretender」のここがすごい!「君は綺麗だ」に隠された想い!

【歌詞の意味】Official髭男dism「Pretender」のここがすごい!歌詞の意味

こんにちは!

今回はOfficial髭男dismの「Pretender」を徹底的に考察し、歌詞の意味を解説していきたいと思います!

「Pretender」と言えば、一昔前にSNS等でこんな話題があったのをご存じでしょうか。「『Pretender』は、聴く人の性別によって曲の印象が変わる。」こんな内容です。

この意見に私は、おおむね同意です。しかし、この曲を細かく見ていくうちに、もっと複雑な仕掛けがこの曲には施されているのではないか、と思うようになりました。

それは、「この曲を聴いた人の体験に結び付き、聴く人によって印象を変える楽曲である」というものです。

この考えを証明すべく、今回の記事の執筆に至りました。テーマは、「抽象表現と共感性」です!

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共感性が名曲を作った?

歌詞分析に入る前に、今回の考察テーマである「抽象表現と共感性」についてお話します。

本楽曲は、歌詞のいたるところに、曖昧で人によってとらえ方が変わるような表現が用いられています。

例えば、Aメロの”いざ始まればひとり芝居だ”という歌詞。これ、「ひとり芝居」をしているのは誰だと思いますか?

素直に読めば、「歌っている視点人物=僕」という風になると思います。

しかし、曲中を見ても、「ひとり芝居」が誰のものであるのかを確定させるような箇所はありません。このひとり芝居は「君」のものである、という風にとらえて読んでも、この楽曲は成り立つのです。

もしかすると、はじめからそう思ってこの曲を聴いていた、という人も中にはいるのではないでしょうか。(実は僕自身、この見方をしていた1人でもあります)

このように、聞く人によって感じ方が変わってくる表現のことを、筆者は「抽象表現」と呼んでいます。

そして、それらの表現は抽象的でありながらも(というより、抽象的であるからこそ)、聞く人にその場面を想像させたり、「あー、その気持ちなんとなくわかるー!!」と思わせたりする効果があります。これが、「共感性」です。

この、「抽象表現と共感性」に注目して歌詞を読むと、本楽曲の魅力により迫ることができると思います!

それでは、前置きが長くなりましたが、歌詞分析行ってみましょう!

歌詞の意味

1番

君とのラブストーリー それは予想通り
いざ始まればひとり芝居だ
ずっとそばにいたって 
結局ただの観客だ
感情のないアイムソーリー それはいつも通り
慣れてしまえば悪くはないけど
君とのロマンスは人生柄
続きはしないことを知った

Official髭男dism「Pretender」ー作成:藤原聡
膝を抱え落ち込む女性

Aメロは、「僕」が「君」のことをどんな風に思っているかの印象を決める、大事な部分になっています。

前置きでも触れたとおり、”ひとり芝居”をしているのはいったい誰なのか。それによって、だいぶ印象が変わってきます。

「僕」がひとり芝居をしているのなら、「僕」ばかり「君」のことが好きで、何となく空回りしている印象がありますね。

一方で、「君」がひとり芝居をしているのなら、「君」はとても献身的に「僕」に尽くしてくれるけど、それを見てもそれほど意識されていない、という健気で切ない「君」の姿が見えてきます。

また、ひとり芝居を見ている「観客」も、2通りのパターンがあります。「僕」がひとり芝居をしているのなら「君」が観客になりますし、その逆もまた然りです。

”感情のないアイムソーリー それはいつも通り
慣れてしまえば悪くはないけど”

この歌詞でも、それに「慣れて」しまったのがどちらの人物か、人によって変わってくると思います。

言うなればAメロでは、「僕」と「君」のどちらが、より相手のことを好きでいるのか、というところの聴き手の印象が決められているのです。

”君とのロマンスは人生柄
続きはしないことを知った”

そして、いずれのパターンでも、どんな人が聞いても共通する感情が、この部分の歌詞で表現されています。

お互いがどう思っているのかは聴き手にゆだねられますが、そのいずれも結局、2人の関係は長続きしないことを表しています。

もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で もっと違う価値観で
愛を伝えられたらいいな
そう願っても無駄だから

Official髭男dism「Pretender」ー作成:藤原聡

Bメロは、Aメロで受けた印象によって、大きく意味合いが変わってきます。

”もっと違う設定で もっと違う関係で”
”もっと違う性格で もっと違う価値観で”

「こんな出会い方をしていれば、君は僕のことを好きでいてくれたのかな。」「僕がこんな性格なら、もっと君のことを好きになれたのかな。

Aメロの印象によって、様々な感情が見えてきます。

このように、今と違う自分の状態で、”愛を伝えられたらいいな”と「僕」は思います。

しかし、”そう願っても無駄”であると「僕」は感じます。

実際にそれは叶うはずもない願いなのですから・・・(切ないーーー!!!)

グッバイ
君の運命の人は僕じゃない
辛いけど否めない でも離れがたいのさ
その髪に触れただけで
痛いやいやでも 甘いないやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えはわからない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことが
あるとするのならば
「君は綺麗だ」

Official髭男dism「Pretender」ー作成:藤原聡

サビでは、A、Bメロとは違い、単語の対象が不明瞭である、ということはありません。その代わり、2人の関係性の捉え方によって、大きく印象が変わってくる仕掛けがあります。

みなさんは、この曲に登場する2人、どういった関係性だと思いましたか?
どこにでもいるカップル?危ない恋をしている2人?はたまた、「僕」の一方的な片思い?

実は、どんな関係性であると考えても、サビの歌詞は成り立つようになっています。

例えば、2人がカップルであると仮定した場合。”君の運命の人は僕じゃない”という部分は、「君と僕は付き合っているけど、お互いにっとってベストな選択ではないようだ。」といった意味合いになってきます。

それでは、「僕」の片思いである場合どうか。「僕は、君に釣り合うような人(=運命の人)ではない。」というふうになります。

このように、”君の運命の人は僕じゃない”という歌詞の意味は、2人の関係性をどのようにとらえるのかによって変わってきます。

”その髪に触れただけで
痛いやいやでも 甘いないやいや”

この歌詞は、”君の運命の人は僕じゃない”という事実に対する気持ちになっています。
”痛い”という言葉も、「君が好きになってくれないからつらい」「君を好きになれないのに一緒にいるのは心が痛い」と、様々な意味を想像することができます。

”それじゃ僕にとって君は何?
答えはわからない 分かりたくもないのさ”

それでは、「僕」にとっての君とは、どういう存在なのか。答えは、「わからない」と言っています。

もしかすると、おぼろげながら見えているのに、わからないふりをしているのかもしれません。
あまりにも救いようのない事実に対して、”分かりたくない”と言ってるとも取れます。

そんな中でも、たった一つ確かな感情なのが、「『君は綺麗だ』」です。

ここ、「『君が好きだ』」にしなかったところが、個人的には素敵ポイントです。そうしてしまうと、「僕」は「君」に、必ず好意を持っていることになってしまいますからね。

君が好きかどうか、それすらもわからないような不確定なニュアンスを持たせるために、また、いろんな人がいろんな感じ方をできるように、この表現にしたのだと思います。

2番

誰かが偉そうに 語る恋愛の論理
何ひとつとしてピンとこなくて
飛行機の窓から見下ろした 
知らない街の夜景みたいだ

Official髭男dism「Pretender」ー作成:藤原聡
高い位置から見下ろした夜景

この部分では、一般的な恋愛観とは、自分(達)の恋愛観が違うことを表現しています。

それもそうですよね。本楽曲の感じ方が十人十色であるように、恋愛感情に決まった形はありません。もしかしたら、恋愛に正解というものがあれば、2人はもっと楽に生きられたのかもしれませんね。

”飛行機の窓から見下ろした 
知らない街の夜景みたいだ”

全くなじみもなく、どこに注目してもいいかわからない景色の様子。

自分たちの関係に全くあてはまらない恋愛理論のことを表現した歌詞になっています。

もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
いたって純な心で 叶った恋を抱きしめて
「好きだ」とか無責任に言えたらいいな
そう願っても虚しいのさ

Official髭男dism「Pretender」ー作成:藤原聡

前半は、おおむね1番と同じ意味合いです。

”いたって純な心で 叶った恋を抱きしめて
「好きだ」とか無責任に言えたらいいな”

前の歌詞にあったように不安定な恋ではなく、もっと単純な「好き」という気持ちで成り立つ、理想的な恋愛が出来ていたならば、無責任に「好きだ」と言えたのになぁ・・・といった感情です。

確かに、どんなパターンで考えたとしても、どこか純粋であるとは言えない本楽曲の恋愛においては、「好きだ」という言葉はあまりにも無責任であるのかもしれません。

それは、相手の気持ちを考えていなかったり、自分自身に嘘をつく言葉になりかねません。

そして、そんなかなうはずもない願いに対して、「僕」は虚しいと感じます。

グッバイ
繋いだ手の向こうにエンドライン
引き伸ばすたびに 疼きだす未来には
君はいない その事実にCry・・・
そりゃ苦しいよな

Official髭男dism「Pretender」ー作成:藤原聡

ここでは、2人の未来について、比喩を用いてより情景的に表されています。

”繋いだ手の向こうにエンドライン”

繋いだ手(これも2人の関係によって、空想とも、現状だけの事実とも取れます)の先に見える、確かな終わり。それこそ、この恋の限界を表すエンドラインです。

片思いなら、気持ちを伝えないことで延命してきたこと。カップルなら、理由をつけては先延ばしにしてきた別れ話。

しかし、そんな延命措置にも、いつかは必ず限界が来ます。

”引き伸ばすたびに 疼きだす未来には
君はいない その事実にCry・・・”

どんなにこの恋の終わりを引き延ばしても、結末はわかりきっています。「僕」の人生の行く末、そこに「君」はいません。

そして、そのような事実は誰にとっても「苦しいものである」と「僕」は感じます。

2番以降

グッバイ
君の運命の人は僕じゃない
辛いけど否めない でも離れがたいのさ
その髪に触れただけで痛いやいやでも 甘いないやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えはわからない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」

Official髭男dism「Pretender」ー作成:藤原聡

上記にて分析済みのため省略します!

それもこれもロマンスの定めなら
悪くないよな
永遠も約束もないけれど
「とても綺麗だ」

Official髭男dism「Pretender」ー作成:藤原聡

最後の部分は、「辛いけれど、これこそが恋愛というものである」と、半ば悟ったような表現になっています。

”ロマンスの定め”とは、上記の悟りを表現した言葉です。

そしてこれらの歌詞からは、ここまで考えたうえでも、確かに残る事実は”君は綺麗だ”というただ一点であることがわかります。

また、2人の結末は詳しく語られません。聞き手である我々にゆだねられています。

2人の関係が良い方向に向かっていったのか、このままの関係をだらだらと続けていくのか、2人別々の道を歩むことになるのか・・・

まさに、ご想像のままに、です。

余談ですが、本楽曲の公式MVも、視聴者に結末をゆだねるような終わりとなっています。

このMVも、とてもいい作品になっているので、まだ見ていない方は是非ご覧ください!

もう見たという方も、本考察を踏まえて改めて視聴すると、また違った発見があるかもしれません。

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考察

本楽曲の構成と魅力

本楽曲は、考察テーマである「抽象表現と共感性」を意識した表現が随所に盛り込まれていたことは、歌詞分析から明らかにすることができたと思います。

どの表現も曖昧であり、聴き手によって印象が変わるものではありました。しかし、イメージを持ちにくいということはなく、むしろ自分独自のイメージをしやすくもなっていたと思います。

私は冒頭で、この楽曲は「この曲を聴いた人の自己体験に結び付き、聞く人によって印象を変える楽曲である」というふうに表現しました。

結局のところ、この楽曲の感じ方というのは、それぞれが持つ恋愛の苦い実体験、もしくは恋愛に対する理想などの価値観によって変わるものではないか、と思います。

知らず知らずのうちに、「ああ、俺もこんな経験あったなあ。」「私の元カレ、こんな感じのこといってたなあ。」「私も、もし付き合うことになったらこんな感じに思うかも・・・」などなど、自分と楽曲を重ねて聴く人が多いのではないでしょうか。

だからこそ本楽曲は、多くの人の支持を得ている、と言えるでしょう。これこそが本楽曲の「共感性」であり、大きな魅力であると思います。

どの感じ方にも共通する「事実」の使い方

本楽曲では、「抽象表現=あいまいな表現」を用いることによって、聴き手に様々な印象を与えることはすでに述べたとおりです。

しかし、ある箇所には確かな「事実」を表現した部分が隠されています。

それが、Aメロ、Bメロ、サビの最後の部分です。

”君とのロマンスは人生柄 
続きはしないことを知った”
”そう願っても無駄だから”
”君は綺麗だ”

というところですね。

これらは、歌詞の意味にどのようなイメージを持った場合でも、確かにある事実として存在します。

各パートにおいて、歌詞に感じた印象は人によって違います。

しかし、パートの終わりでは事実を用いることで、曲全体の印象が、聴き手の妄想の世界に飛んで行ってしまわないようにしています。

「はーい、ここからここは自由に考えてー。・・・はい、集合!いったん整理するよ。」といった感じですね。

事実を歌詞にまぜることで、自由に想像していい歌詞とのバランスをとっていると言えます。

この構成力は、並大抵のことではないと思いました。

本楽曲の楽しみ方

最後は、少し余談です。本楽曲は、当然そのまま聴くことでも十二分に楽しむことができます。

しかし、筆者のおすすめの楽しみ方は、「本楽曲を他の誰かとどのように感じたか話し合ってみる」ことです。

この考察を読んだうえで、「なるほど。なら、こんな考え方もできそうだ。」「この視点から見ると、また違った魅力があるぞ。」のようにしてもらっても構いませんし、知人と曲の印象について語り合うのもいいかもしれません。

その際は、自分と考え方(特に恋愛についての)が違う人と語り合うと、面白いと思います。

冒頭に触れた、「『Pretender』は、聞く人の性別によって曲の印象が変わる。」という説の理由は、もしかしたらここにあるのかもしれません。

恋愛観は千差万別であり、ひとりひとり違う、というのは大前提です。しかし、性別の違いによって、ある程度考え方に違いが表れる場面があるのもまた事実です。

そういった性別の違い、ひいては人と人の考え方の違いを超えて、相手の考えを尊重しながら楽しむことができる、というのもまた、この楽曲の魅力であるように感じます。

筆者の感想

本楽曲の分析、考察を進めるうえで、つくづく作成者である藤原聡さんは天才であると感じました。

実は、僕自身も作詞の経験はあるのですが、情景描写をここまで使わずに、心理描写だけで作詞するのは本当に難しいことだと思います。

しかも、聞いてる人がちゃんと物語を想像することができる・・・やはり、人気の楽曲には、それなりの理由があるんだなと痛感しました。

Official髭男dism、これからも大活躍間違いなし、注目のアーティストですね!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

ご感想や、「こんな曲の考察も見たい!」というご意見ありましたら、コメント欄までお願いします!

それでは( ^^) _U~~

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