こんにちは!
今日は、あいみょんの「ハート」を徹底考察し、歌詞の意味を解説していきます!
ドラマ『婚姻届けに判を捺しただけですが』の主題歌である本楽曲。距離感の難しい「恋愛」という課題、そこに生まれる複雑な感情。
恋するからこそ悩む、一人の女性の想いを綴った本楽曲は、ドラマ『婚姻届けに判を捺しただけですが』の主題歌としてぴったりです。
そんな本楽曲の魅力に、歌詞分析の観点から迫っていきます!
ドラマ『婚姻届けに判を捺しただけですが』の主題歌
楽曲を見ていく前に、まずは本楽曲を主題歌とするドラマ『婚姻届けに判を捺しただけですが』のあらすじを、軽くご紹介したいと思います。
仕事人間の大加戸明菜は、独身貴族。周りの婚活ムードにも流されず、自由気ままな生活を楽しんでいた。
そんなある日、とある理由で偽装結婚の企む百瀬柊から、初めて会ったその日にプロポーズされてしまう。
突然のことに驚き、断ろうとする明菜だったが、小料理屋を経営する母親を救うため、百瀬から500万円の借金をしてしまい、2人は偽装夫婦になることに。
当然はじめはそこに愛などなく、2人は衝突してばかり。しかし、時折見せる百瀬の不器用な優しさに、明菜は次第に惹かれていきます。
偽装結婚から始まる、少し歪な二人のラブストーリーを描いた作品。
ドラマでも、少し歪で、困難も多い二人の恋模様が描かれています。主題歌である「ハート」で描かれる感情は、へんてこな出会いから始まった二人の恋路を描くこのドラマにぴったりです。
この記事では、楽曲の描く世界を中心に歌詞の意味を解説していきますが、ドラマと見比べながら楽曲を味わうというのも、また楽しいかもしれません。
あいみょんが楽曲に込めた想い
以下のサイトで、あいみょんが楽曲についてしたコメントが紹介されていたので、見てみましょう!

以下、同サイトより引用
<あいみょん コメント全文>
一度書いた歌詞を書き直す作業は今までしてこなかったんですが、この曲は何度も何度も歌詞を読んで、歌ってみて、また書き直して。
可愛くなりすぎず、不恰好になりすぎない、そんなハートを描けたらと思い、言葉の微調整を繰り返しました。
ハートって上は丸いくせに下は尖ってる。可愛いのに痛そうで不思議な形だなと思います。
本当は歪な関係を表すマークなのかも…!
ドラマで楽曲が流れるのも本当に楽しみです。チームハンオシの皆さん宜しくお願いします!歪な関係(?)楽しみです。
ハートも宜しくお願いします♡
https://www.fashion-press.net/news/77966ー12月10日閲覧
このコメントから、タイトルでもある「ハート」に対するあいみょんの考え方、ドラマでも描かれた「歪な恋」を楽曲で表現するのに苦労した様子が伝わってきますね。
筆者は特に、「可愛くなりすぎず、不恰好になりすぎない」という部分に着目しました。
確かに、本楽曲の歌詞を見てみると、「人を好きになる」という純粋な思いが描かれている一方で、どこかピュア過ぎないという、絶妙な味わいを感じることができます。
そんな、あいみょんが本楽曲に込めた想いにも着目しながら、歌詞の意味を解説していきたいと思います!
歌詞の意味
1番
伝えることが難しいこと
あいみょん「ハート」-作成:あいみょん
近くにいればいるほど
なんだか胸が痛い
眠たい夜に眠れないこと
予測できない帰りを待ってる
私がいる

ここでは、「貴方」のことを思い、悩む「私」の様子が描かれています。
”近くにいればいるほど
なんだか胸が痛い”
この歌詞から、2人の関係はそれほど離れていないことがわかります。
そして、そんな風に近いからこそ、”伝えることが難しい”と「私」は思っており、そんな状態を胸が痛いと表現しています。
”予測できない帰りを待ってる
私がいる”
この歌詞からは、帰りが予測できない=「一緒に住んでるわけではない」ということがわかります。
そして「私」は、「あなた」を思うことで、”眠たい夜に眠れない”夜を過ごしているようです。
この歌詞から、夜も眠れないほどに「貴方」を想う「私」の気持ちの大きさがわかります。
また、「帰りを待つ」という表現には、今は一緒に住んでいない=一緒に住みたいと思う「私」の気持ちが表れています。つまり、結婚や同棲ですね。
先の解説で、二人の関係はそれほど離れていないと言いましたが、「親しいながらも、結婚や同棲には至っていない」という二人の関係性が、この歌詞からわかります。
ひとつになる度、期待すること
あいみょん「ハート」-作成:あいみょん
近くにいればいつかは待ってる?
柔い時間
見過ぎた理想と笑われたこと
私の隅で小さく高鳴ってる
未来が泣く
さようならは嫌 わがままかしら?
ただ貴方の、貴方の心を奪えたら
ここでは、「貴方」と結ばれたいという、「私」の願いが描かれています。
”ひとつになる度”という歌詞から、二人は身体を重ねることもあるような関係であることがわかります。身体の関係はあるが、結婚や同棲とまではいかない・・・何とも言えない間柄です。
”近くにいればいつかは待ってる?
柔い時間”
そして「私」は、このように近くにいれば、いつかは一緒になれる日が来るのではないかと、期待を込めて考えます。
”柔い時間”は、いつか一緒になるという、優しい時間を表現した言葉であると推測できます。
”見過ぎた理想と笑われたこと”
一方で、周りの人からは、そんな「私」の期待は実現不可能な理想と笑われることもあるようです。
”小さく高鳴ってる未来”とは、「貴方と結ばれたい」という「私」の願いを表現しています。周りの人に「笑われ」、そのせいで私の願いが「泣く」という、対比的な表現になっていますね。
そうして「私」は、”さようならは嫌” ”貴方の心を奪えたら”と本音を漏らすのです。
寒さに負けないような
あいみょん「ハート」-作成:あいみょん
ぬくもりで貴方のことを
温めてあげられる
自信のある恋ばかりじゃないけれど
私のこの眼に嘘がないこと
解って欲しい
きっと これは恋の始まり
ここでは、「貴方」に伝えたい、「私」の本音が表現されています。
”寒さに負けないような
ぬくもりで貴方のことを
温めてあげられる”
この歌詞は、実際には伝えられない「私」の気持ちです。
本当は、こんなセリフを言いながら、「貴方」のことを抱きしめたいのでしょう。
”あげられる”という表現は、少し恩着せがましい表現になっています。「~してあげられるから、私と一緒になろう」と伝えたい、「私」の気持ちが良く表れています。
”自信のある恋ばかりじゃないけれど”
現在の状況(近しい「貴方」とも、結婚とまではいかない)が物語るように、「私」は上手な恋愛はできてこなかったのでしょう。
この歌詞から、「私」が幸薄であるという人物像が見えてきます。
しかしそれでも、この恋は「嘘がない」と表現されており、「私」の想いの強さが伝わってきます。
2番
伝えれば済むと分かってること
あいみょん「ハート」-作成:あいみょん
「遠くに行かないでよ」って少し、
胸が言いたい
寝つけない夜に暴れだす鼓動
私の中溢れ出す愛情で
締め付けたい

ここでは、本音を伝えられずに苦悩する、「私」の様子が表現されています。
”「遠くに行かないでよ」って少し、
胸が言いたい”
本当は「遠くに行かないでよ」と伝えたいのに、できない。1番にもあったように、「近いからこそ」伝えることができないと、「私」は悩んでいます。
”つけない夜に暴れだす鼓動”
そして、そんな悩みから、夜な夜な鼓動が暴れます。溢れ出す「貴方」への愛情を伝えて、この鼓動を鎮めたいと、私は思うのです。
ずっと笑っているのも
あいみょん「ハート」-作成:あいみょん
起きてすぐ書くアイラインも
ただ貴方に、
貴方に認めて欲しいから
ここでは、「貴方」に振り向いてほしいという、「私」の気持ちが表現されています。
”ずっと笑っているのも
起きてすぐ書くアイラインも”
「貴方」のために少しでもかわいい「私」でいようとする姿勢は、とても健気で、かわいらしく思えます。
伝えられない「感情」の部分と対照的に、ここで描かれるのは素直な「私」の気持ちが表れた「外見」の部分です。
外見には表れているのに、「貴方」に伝わりきらないという点も、聴き手に切なさを感じさせます。
誰にも負けないような
あいみょん「ハート」-作成:あいみょん
ぬくもりで貴方のことを
抱きしめてあげられる
自慢できるほどの
恋はしたことがないけど
私は貴方を
ここでは、1番と違う点として、”誰にも負けないような”という表現があげられます。
他の誰にも負けない、強い気持ちが感じられます。
大まかな内容は1番とほぼ内容が同じのため、省略します!
2番以降
たまに怒らせたりして
あいみょん「ハート」-作成:あいみょん
優柔不断に泣いて
貴方を困らせる天才だね
でも、ふたり結ばれてから
始まる恋もあるよ?
だから今日も貴方を想ってる
ここでは、「貴方」のことを強く思う「私」の気持ちが表現されています。
”たまに怒らせたりして
優柔不断に泣いて”
この歌詞では、「私」の良くないところが表現されています。
そして、怒らせたり、泣いたり、「貴方」を困らせてしまう「私」の様子を”貴方を困らせる天才”と表現しています。
”ふたり結ばれてから
始まる恋もあるよ?”
という歌詞からは、「貴方」のことを説得しようと(実際には伝えられていないけれど)必死になる、「私」の想いの強さが伝わってきます。
また「私」は、「貴方」を想う気持ちに偽りはなく、だからこそ「今日も貴方を想ってる」と、結ばれることを強く願っています。
寒さに負けないような
あいみょん「ハート」-作成:あいみょん
ぬくもりで貴方のこと
温めてあげられる
自信のある恋ばかりじゃないけれど
私のこの眼に嘘がないこと
解って欲しい
きっとこれは恋の始まり
きっとこれが恋の始まり
1番とほぼ同じ内容のため、省略します!
考察
自慢できない恋ばかりしてきた…「私」の人物像

歌詞を見ていくと、楽曲における「私」の人物像が浮かんできます。
筆者は、「恋愛経験はあるけれど、結婚や同棲まではいかない女性」が、「私」という人物をよく表すのではないかと考えました。
それは、”自信のある恋ばかりじゃないけれど”という歌詞からもよくわかります。”見過ぎた理想と笑われたこと”からも、「私」が誰かと結ばれることの難しさが、客観的な視点から評価されています。
「あの人、モテるんだろうけど、結婚はしなさそうだなあ」っていう人の話は、よく耳にします。
「私」も、こういった人物なのだと思います。主題歌として採用されたドラマの内容を鑑みても、「私」はこれまで結婚に執着がなく、恋愛も一つの人生のスパイスとして楽しんでいたような人物だったのかもしれません。
そんな「私」の、「貴方」と結ばれたいという素直な気持ちが本楽曲では歌われている、と言えるのではないでしょうか。
素直だからこそ可愛いだけじゃない
本楽曲における「私」の気持ちは、あいみょんが言うように「可愛くなりすぎず、不恰好になりすぎない」絶妙な言葉づかいで表現されていました。
その理由は、本楽曲が「結婚や同棲など、大人の恋模様」を描くからであると考えられます。
”温めてあげられる” ”ふたり結ばれてから 始まる恋もあるよ?”というように、どこか上から目線な表現というか。
あいみょんの言葉を借りれば「可愛くなりすぎない」表現が所々用いられています。
女性目線のラブソングと聞くと、あどけない少女の純粋な気持ちであったり、恋心に揺れる初々しい姿を想像するかもしれません。
そういった姿はかわいらしく、時に純粋なあまり不格好になることもあります。本楽曲は、「そうなりすぎないように」言葉が選ばれていると言えます。
一方で、「貴方」に対する健気な恋心も、本楽曲では歌われています。
「貴方」のことを強く想い、振り向いてもらおうと努力する姿は、健気でかわいらしいものです。
この、「かわいらしさ」と「かわいくなりすぎない」という両立こそ、あいみょんの言う「可愛くなりすぎず、不恰好になりすぎない」なのではないでしょうか。
二つの表現はどちらも、「私」の素直な「本音」を表現している、と言えます。
素直な気持ちだからこそ、決して可愛いだけじゃないというのは、大人の恋愛感情としてとてもリアリティがあります。
まさに「大人である私の等身大ラブソング」。このようなリアリティもまた、本楽曲の魅力であると言えます。
あいみょんの巧みな表現…「こと」の使い方
最後に、表現の観点から本楽曲を見てみたいと思います。
本楽曲のAメロでは、「こと」という表現が繰り返し用いられています。
まずこれから何について歌うのかを「こと」という言葉で締めくくり、その詳細や、その時の気持ちを後ろの歌詞で表現する、というスタイルが繰り返されているのです。
そして、「こと」の使い方は、一つ一つ微妙に違います。例を見てみましょう。
”伝えることが難しいこと
近くにいればいるほど なんだか胸が痛い”
「伝えることが難しい」理由→「近くにいればいるほど なんだか胸が痛い」
”眠たい夜に眠れないこと
予測できない帰りを待ってる私がいる”
「眠たい夜に眠れない」時→「予測できない帰りを待ってる私がいる」
”ひとつになる度、期待すること
近くにいればいつかは待ってる? 柔い時間”
「ひとつになる度、期待する」内容→近くにいればいつかは待ってる? 柔い時間
”見過ぎた理想と笑われたこと
私の隅で小さく高鳴ってる 未来が泣く”
「見過ぎた理想と笑われた」から→「私の隅で小さく高鳴ってる 未来が泣く」
このように、同じ「こと」に持たせる意味をあいみょんは使い分けています。
あえて「こと」で統一することで、「私」の「貴方」に対する気持ちや悩みを箇条書きの様にまとめています。
こういったところにあいみょんの表現の巧みさが表れていると感じました。
筆者の感想
あいみょんの表現だとか、楽曲の世界観づくりってホント上手いよなあと改めて感じました。「可愛くなりすぎず、不恰好になりすぎない」絶妙な表現であったり、「こと」の使い方であったり。
言葉が難しすぎるわけでもないのに、ここまで豊かに表現できるのは、あいみょんならではの魅力であると思います。
歌詞分析をしていても、隠された仕掛けに気が付いた時、「なるほどお!」と唸らせるような表現がたくさんあります。
またどんどん考察していきたいアーティストです。
この記事の感想やご意見など、是非コメント欄までお待ちしております!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
それでは(@^^)/~~~
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