【歌詞の意味】Ado「心という名の不可解」のここがすごい!「心を知らない人」ならではの苦悩とは?

【歌詞の意味】Ado「心という名の不可解」のここがすごい!歌詞の意味

こんにちは!

今日は、Adoの「心という名の不可解」を徹底的に考察し、歌詞の意味を解説します!

「恋の病」という未だ治療法の見つからない、不治の病に思い悩む「私」の姿が描かれた本楽曲。
「心音が速くなる」「目が潤む」といった現象自体は理解できるのに、なぜ「君」を思うとそうなってしまうのか分からない「私」の心が、存分に表現されています。

そんな本楽曲の魅力に、歌詞分析の観点から迫っていきます!

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まふまふ提供の楽曲

本楽曲は歌い手、作詞家、作曲家として活動している「まふまふ」によって作成されました。

まふまふはYouTubeをはじめとする動画配信サービスで人気を博しており、昨年度は紅白歌合戦にも出演したことで注目を集めたアーティストです。

男性ながら中性的で高音を多用するスタイルは非常に現代的で、若者を中心に大人気のまふまふですが、楽曲の作成のほうも一流です。
本楽曲も、畳みかけるような言葉遣いと、趣向を凝らした歌詞表現によって、聴き手を一気に楽曲世界に引き込みます。

本楽曲は、現代における王道歌い手ともいえるまふまふとAdoの夢のコラボレーション楽曲であると言えます。

ドラマ「ドクターホワイト」の主題歌

本楽曲はドラマ「ドクターホワイト」の主題歌として起用されています。
以下に、簡単な「ドクターホワイト」のあらすじを紹介します!

ドラマ「ドクターホワイト」あらすじ

医療ジャーナリストである狩岡将貴はある朝、日課のランニング中に公園で倒れている女性を見つけた。
病院に運び込まれた彼女は目を覚ますと自らを「白夜」と名乗り、医者をも凌駕する豊富な医療知識を披露する。しかし彼女はそれ以外の記憶をすべて失ってしまっていた…
社会性ゼロで記憶喪失、正体不明な女性白夜を中心として描かれる、医療系ヒューマンストーリーである。

本楽曲は医療がテーマのドラマの主題歌ということもあり、歌詞内には医者や医療を思わせる表現が多用されています。

また、医療についてはわかるのに、「君」への気持ちを解明できない「私」の姿は、医療知識以外の一切の記憶を失い、社会性ゼロの白夜と重なります。

本楽曲についてAdoは、次のようにコメントしています。

「ドクターホワイト」主題歌に選んでいただきありがとうございます。光栄な限りです…「心という名の不可解」はまふまふさんに作詞作編曲をお願いしました。解剖も存在証明もできない心、心を知らない人がテーマの楽曲となっています。是非ドラマと主題歌、楽しみにしていただけますと幸いです。

https://www.ktv.jp/dr_white/theme-song.htmlより引用 2022年1月23日閲覧

白夜のように、医療知識や科学的知見のある人物だからこそ思い悩む「心」が楽曲のテーマであるようです

ドラマ作品と合わせて楽しむというのも、本楽曲をより味わう方法かもしれません!

歌詞の意味

1番

君が瞬きをする音
目を逸らした音さえ
こんなにも容易く聞き分けてみせるのに
時に、病名を何としましょうか
誰も知りえないはずの
ココロなんてさ 期待もしないよ

Ado「心という名の不可解」-作成:まふまふ
寂しげに外を見つめる女性

ここでは、「君」を思うと現れる症状を何と言ったらいいのかわからない「私」の姿が描かれています。

“君が瞬きをする音 目を逸らした音さえ”

ここで言う「音」とは、「私の心臓の音」であると解釈できます。「君」の一挙一動によって、「私」の鼓動は速くなります。

しかし、続く“こんなにも容易く聞き分けてみせるのに”という歌詞にある「のに」という表現からもわかるように、なぜそうなるのか「私」には解りません。

一般的な意見を言えば、「それは恋のせいだよ」となりそうですが、この症状に病名はなく、医学的、科学的な根拠もない「ココロ」なんてものに期待できない「私」は、より一層悩んでしまいます。

寸分の狂いだってない
正確に記録されたジグザグに
それ以上意味はないはずだもの
寸分の狂いだってない
故にどんな顔して笑おうと
カルテに書かれないことは
信じるに値しないんだ
それが全て

Ado「心という名の不可解」-作成:まふまふ

ここでは、医療的な根拠のない現象なんて信じられないという、「私」の心情が描かれています。

「正確に記録されたジグザグ」とは、心電図のことでしょう。
「心電図には、寸分の狂いもないはずだ。そこに映るのは、単なる心音のデータだ。カルテに描かれていないようなものは、信頼に値しない。」

どこまでも理論的な「私」にとって、君を見て鼓動が高鳴ったり、思わず表情が緩んでしまうという現象は、理解しがたいものです。

これらの歌詞から、「ココロ」を理解できない私の様子が見て取れます。

心音を吐いている
心音を吐いている
それだけ 
愛味なものだ 見えないものだ
最適な治療法などどこにもない ねえ

Ado「心という名の不可解」-作成:まふまふ

ここでは、治療法の見つからない現象に、思い悩む「私」の様子が描かれています。

“心音を吐いている”

この歌詞は、高鳴り続ける鼓動を表現しています。医学的根拠がない、「ココロ」なんて信じるに値しない。

だからこそ、この鼓動の高鳴りは、”それだけ”=「ただ心拍数が上がっているだけ」と自分に言い聞かせているのです。

“愛味なものだ 見えないものだ”

という歌詞が指すものは、恋心をはじめとした人の感情=ココロでしょう。
仮に「ココロ」なんてものがあったとしても、それはあいまいで、治療法も見つかりません。論理がすべての「私」にとって、このような状況は非常に悩ましいものなのです。

感情の判断はどうしたらいい?
心境の分別はどうしたらいい?
証明しようもない不明瞭が
エラー吐いては脈を打つんだ
安寧も安楽もどうだっていい
後悔の人生だとしたっていいからさ
この目が潤む病の理由は何なの?

Ado「心という名の不可解」-作成:まふまふ

ここでは、悩みを解決する術を求める「私」の姿が描かれています。

”感情の判断はどうしたらいい?
心境の分別はどうしたらいい?”

「君」を見たとき、思うときに身体に現れる症状をなんて呼べばいのか、「私」は判断に困っています。
「君」が関わると、論理的に証明できない不明瞭な症状が現れ、そのたびに「私」の思考はエラーを起こします。

“安寧も安楽もどうだっていい 後悔の人生だとしたっていいからさ”

という歌詞からは、全てを投げうってでも「君」を思うと目が潤んでしまう理由を見つけたい、と強く思う「私」の様子が見て取れます。

2番

永遠と静寂の戸をたたいた言伝
私はいつまで忘れているつもりだろう
明日を繋いだ指で
取りこぼしてきたものを数えてしまう
虚しさのままに

Ado「心という名の不可解」-作成:まふまふ
研究者

ここでは、論理にこだわってきた自分の半生を思う「私」の様子が描かれています。

“永遠と静寂の戸をたたいた言伝”

とは、医師として生きてきた「私」を表した言葉であると考えられます。
静寂に包まれた病室の中、永遠と扉がノックされ、看護師から患者のことを伝えられ、治療に向き合う日々。

そんな中で気が付けなかった「ココロ」という存在を、これまで「私」は忘れたふりをしてきました。医師として論理的に生きてきたからこそ知れなかったものがあるという事実に、「私」は目を背け続けてきたのです。

“明日を繋いだ指で 取りこぼしてきたものを数えてしまう”

という歌詞は、そんな人生に思いを向けた言葉です。幾多の患者を救って来た中で、取りこぼしてしまったものの数々を私は悔やみます。

本楽曲で歌われているような「ココロ」は、「取りこぼしてきたもの」のうち今一番自分を悩ませているものです。

後悔にも似た念を自分の半生に思う「私」は、そんな自分を「虚しい」と感じるのです。

心音を吐いている
心音を吐いている
本当は乱暴に君が触れてくれたら
ぽっかり覗く空白も埋められる
これが正体?

Ado「心という名の不可解」-作成:まふまふ

ここでは、少しづつ自分の「病」の正体に気が付き始める「私」の姿が描かれています。

”本当は乱暴に君が触れてくれたら”

多少乱暴にでも「君」が触れてくれたら、「私」の気持ちの空白=わからないところも判明するはずなのです。

”これが正体?”

こんな風に考えてしまうことは、それ自体がこの「病」の正体が「ココロ」に起因するものであることを証明しており、それは「恋心」に他なりません。

これらの歌詞からは、「ココロ」なんて信じられないとしてきた論理的な「私」の考え方に、少しづつ変化が見えてきたことがわかります。

表情にメスを入れてしまう
愛情は投薬と思えてしまう
解剖できない手術台じゃ
答えなんてさわかりやしないよ
数式で一切を証明しない
心という名前の不可解を
素直になれぬ私のことを見抜いてよ

Ado「心という名の不可解」-作成:まふまふ

ここでは、「病」の正体に何となく見当がつきながらも、答えにたどり着けない「私」の苦悩が表現されています。

”表情にメスを入れてしまう
愛情は投薬と思えてしまう”

素直になれない「私」は、表情を取り繕い、愛情すらも投薬に例えて批判的にとらえてしまいます。

”心という名前の不可解を”

そして、そんな考え方をしてしまう「私」は、心という存在を解剖不可能な解らないものとしてとらえています。

そこには、数式のような絶対の論理は存在しません。そのような「心」という存在を「私」は不可解であると言い、「君」に「私」の心を見抜いてほしいと思うのです。

2番以降

心音を吐いている
心音を吐いている
覚めない夢なんて
ここにないと教えて
感情の判断はどうしたらいい?

Ado「心という名の不可解」-作成:まふまふ
ハートと心電図

ここでの歌詞は、繰り返しになるところも多いので簡単に説明します。

“覚めない夢なんて ここにないと教えて”

「私」が感じている不可解という悩みも、必ず解決すると言ってほしいという感情であると言えます。

「教えて」が指す対象は、もちろん「君」であると考えられます。「私」の「病」を解決するカギは、「君」が握っているということがわかる歌詞になっています。

感情の判断はどうしたらいい?
心境の分別はどうしたらいい?
証明しようもない不明瞭が
エラー吐いては脈を打つんだ
何回拒んだって振りほどいたって
そうやってまた優しくするのでしょう?
この目が潤む病の理由は何なの?
この想いの名前は何なの?

Ado「心という名の不可解」-作成:まふまふ

前半部分に関しては、繰り返しになるため省略します!

後半部分では、君への思いを振りほどけない「私」の姿が描かれています。

“何回拒んだって振りほどいたって
そうやってまた優しくするのでしょう?”

という歌詞から、「私」は解決できない病から逃れようと、時には「君」のことを避けたり、拒んだりしてきたことがわかります。

しかし、そのたびに優しくされた「私」は「君」への思いを断ち切れず、ますますこの病の正体に悩まされることになります。

そして「私」は、「この病」といった症状ではなく、「この想い」という気持ちの正体を知りたいと、これまでとは少し変わった感情を抱いて、本楽曲は終わります。

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考察

論理を超えた「心」という不可解

本楽曲は主題化となったドラマの設定もあり、医者、もしくは医者のように論理を重んじる人を視点人物として描かれました。

Ado本人のコメントからもわかるように、本楽曲は「心を知らない人が、心に左右される恋という現象に悩まされる楽曲」であると言えます。

論理的であるからこそ、「心」という根拠のない存在が理解できない。そんな「私」が、恋心によって身体に現れる変化を「病」として処理しようとする様子はなんとももどかしく、聴き手を楽曲に引き込みます。

そして恋心は誰にも芽生えうる、極めて自然な感情です。どこまでも論理的であったはずの「私」が翻弄されるくらいに、「心」とは不可解な存在なのです。

本楽曲は、どう論理で解決しようとも証明できない「心」に触れた楽曲であると言えるのではないでしょうか。

「私」の気持ちの変化

本楽曲では、「私」がだんだん「心」に気が付いていく様子が描かれています。

最も象徴的なのは、最後にある“この目が潤む病の理由は何なの? この想いの名前は何なの?”という歌詞です。

はじめ「私」は、自分の身体に起こった変化(鼓動の高鳴り、涙が出てしまうことなど)について「病」と表現していました。

つまりこの段階では、「私」は身体の変化について単なる「現象」としてしかとらえていないことがわかります。

実際に1番の歌詞では、「心電図」や「カルテ」など、正確な現象の記録を思わせる言葉が使われています。
感情や心境すらも、「判断」「分別」とどこか理屈で解決しようとする「私」の様子が見て取れます。

しかし、2番以降では、「虚しさ」「素直になれない」など、「私」の心が現れたような表現が現れてきます。
歌詞の内容を読んでいっても、少しずつ「病」の正体に気が付いていっている「私」の様子が見て取れます。

そして最後には、「病」ではなく「想い」、つまり身体に起こった変化は単なる現象ではなく、自らの「心」に起因するということを「私」は認識します。

最後まで答えがわからずに悩み続ける「私」ですが、この気持ちの変化は、大きな前進であるように思います。

ある種「私」の成長を見届けるという形式があることもまた、本楽曲が聴き手を引き込む理由の一つである、と言えるのではないでしょうか。

筆者の感想

また面白い構成の楽曲を作ったなあと感じました。医者というとどこか賢く、実際に「先生」と言われる尊敬の対象というイメージがありますが、そんな人物だからこそわからない「心」という存在。

なんとも親近感がわくというか、かわいらしいというか。本人はいたって真面目なんでしょうけど、そんな感覚を覚えました。

最後に「私」の気持ちに変化が現れたことも、ひとつ「私」の成長を見届けられたような感動を覚えました。

ここまで論理づくめの人物は、多くの人に共感されるような人物設定にはなっていないと思います。しかしながら、ここまで聴き手を楽曲世界に引き込む作成者の工夫に脱帽です…

Adoは初のアルバムをリリース、まふまふも紅白出演など、今勢いのある2人がタッグとなった本楽曲。非常に歌詞分析も楽しめました!

この記事の感想やご意見など、是非コメント欄までお待ちしております!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

それでは(@^^)/~~~

 

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