こんにちは!
今日は、SEKAI NO OWARIの「Habit」を徹底的に考察し、歌詞の意味を解説します!
独特なメロディーと、少しとげのある歌詞がくせになる本楽曲。
挑発的な歌詞の裏に込められた、真の優しさとは?
本楽曲の魅力に、歌詞分析の観点から迫ります!
✔若者に向けられたメッセージとは?
✔挑発とも取れるトゲのある歌詞
✔厳しさの中に込められた優しさ
『ホリック xxxHOLiC』の主題歌

本楽曲は、映画『ホリック xxxHOLiC』の主題歌として書き下ろされました。
監督である蜷川実花のリクエスト、「今を生きる若者たちへの優しさを込めてほしい」に応えた本楽曲。
少しとげのある歌詞の中には、若者たちのことを思っての言動が込められています。
時に厳しい現実を、時に挑発を込めて綴られた歌詞の中には、若者たちのことを思ってこその、本質的な優しさが込められています。
この点に注目しながら、歌詞の分析を進めていきましょう!
タイトル『Habit』の意味
「Habit」は、「癖、習慣」という意味です。
本楽曲では、これらを総合した「ヒトの習性」という意味で用いられています。
はたして、どのような習性が本楽曲では描かれているのか。
次の章から、歌詞の意味を見ていきましょう!
歌詞の意味
1番
君たちったら何でもかんでも
SEKAI NO OWARI「Habit」-作成:Fukase
分類、区別、ジャンル分けしたがる
ヒトはなぜか分類したがる
習性があるとかないとか
この世の中2種類の人間がいるとか
言う君たちが標的
持ってるヤツとモテないやつとか
ちゃんとやるヤツとヤッてないヤツとか

ここでは、「何でもかんでも分類する」という人の悪癖について語られています。
“君たちったら何でもかんでも
分類、区別、ジャンル分けしたがる”
「君たち」が指す内容はもちろんこの楽曲を聴く我々のことですが、とりわけ作詞者よりも年齢の低い人のことを指します。
先にも述べたように、本楽曲は「今を生きる若者への優しさ」が込められています。
この歌詞では、若者たちに対して「君たちって何でもかんでもすぐ分類したがるよね」という指摘がされています。
そして、そういう分類したがる悪癖を、ここでは「ヒトの習性」と呼んでいます。
“この世の中2種類の人間がいるとか
言う君たちが標的”
この歌詞では、さらに本楽曲の標的が深堀されています。
若者の中でも、“この世の中2種類の人間がいる”などと言ってしまう分類癖のある人物が、本楽曲のターゲットです。
持ってるモテない、やるヤラない何でもいいです。
そうやって、ヒトを2分化しようとしているやつ。おめーらにいってんだよ。
こんなメッセージが込められた歌詞であると言えます。
隠キャ陽キャ?
SEKAI NO OWARI「Habit」-作成:Fukase
君らは分類しないとどうにも落ち着かない
気付かない本能の外側を
覗いていかない? 気分が乗らない?
つまりそれはそんなシンプルじゃない
もっと曖昧で繊細で不明瞭なナニカ
ここでは、ヒトは2分化できるほど単純じゃないことが示されています。
隠キャ、陽キャ何かにつけて分類しないと落ち着かない若者たち。
そんな分類する本能の外側を見せてやるよ、と「俺」は言います。
“つまりそれはそんなシンプルじゃない
もっと曖昧で繊細で不明瞭なナニカ”
ヒトの本能は、複雑で分類できるほどシンプルじゃないと「俺」は語ります。
次の歌詞からは、そんなヒトの複雑さが語られていきます。
例えば持ってるのに出せないヤツ
SEKAI NO OWARI「Habit」-作成:Fukase
やってるのにイケないヤツ
持ってるのに悟ったふりして
スカしてるうちに不安に
なっちゃったりするヤツ
所詮アンタはギフテッド
アタシは普通の主婦ですと
それは良いでしょう?素晴らしいでしょう?
不可能の証明の完成なんじゃない?
ここでは、ヒトを分類することなんかできないということが語られています。
“例えば持ってるのに出せないヤツ
やってるのにイケないヤツ”
先ほどの歌詞にあった「持ってるヤツ」や「やってるヤツ」の中にも、うまくいってないヤツはいます。
あるない、出来る出来ないで分類する愚かさが示された歌詞です。
“所詮アンタはギフテッド
アタシは普通の主婦ですと
それは良いでしょう?素晴らしいでしょう?“
そして多くのヒトは、「あの人はギフテッド(生まれつき突出した才能を持つ人)だから」と、また分類しようとして諦めます。
そして、そのことについて「俺」は、「それで諦めとけばいいじゃん?だって不可能なんだもんね?」と挑発的に語り掛けてきます。
夢を持てなんて言ってない
SEKAI NO OWARI「Habit」-作成:Fukase
そんな無責任になりはしない
ただその習性に喰われないで
そんなHabit 捨てる度
見えてくる君の価値
ここでは、歌い手がなぜこんなことを言っているのかが述べられています。
分類するというヒトの悪癖について語ってきた「俺」ですが、それ自体を否定したいわけではありません。
“ただその習性に喰われないで
そんなHabit 捨てる度
見えてくる君の価値”
この歌詞こそが、「俺」が若者たちに伝えたいことです。
分類するという習性の中で、自分自身も分類してしまうこと。
この習性を捨てた時にこそ、“君の価値”が見えてくると「俺」は言います。
俺たちだって動物
SEKAI NO OWARI「Habit」-作成:Fukase
こーゆーのって好物
ここまで言われたら どう?
普通 腹の底からこうふつふつと
俺たちだって動物
故に持ち得る Original な習性
自分で自分を分類するなよ
壊して見せろよ そのBad Habit
壊して見せろよ そのBad Habit

ここでは、若者たちに対する「俺」のメッセージが歌われています。
自分たちだって動物なのだから、分類したがるという習性を好むことは、ある種仕方ないことだと「俺」は言います。
“ここまで言われたら どう?
普通 腹の底からこうふつふつと”
しかしながら、習性に従うがあまり、自分自身を分類してしまうという悪癖がヒトにはあることも事実です。
そして、多くのヒトはこんな上から目線で説教じみたことをされたことに対して、腹を立てるはずです。
腹が立ったなら、やって見せろよ。
自分を分類してしまう悪癖なんか壊してしまえという、「俺」からの挑発を含んだメッセージになっています。
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2番
大人の俺が言っちゃいけない事
SEKAI NO OWARI「Habit」-作成:Fukase
言っちゃうけど
説教するってぶっちゃけ快楽
酒の肴にすりゃもう傑作
でもって君も進むキッカケになりゃ
そりゃそれでWin-Win じゃん?
こりゃこれで残念じゃん
そもそもそれって君次第だし
その後なんか俺興味ないわけ
ここでは、若者に対して大人がする説教について語られています。
“説教するってぶっちゃけ快楽
酒の肴にすりゃもう傑作”
大人目線から見て、若者にする説教はとても気持ちがいいものです。
酒でも片手に語ろうものなら、それはもう傑作です。
そんな説教が若者の道を切り開くのならWin-Winにも思えますが、これってはたして正しいのでしょうか?
“そもそもそれって君次第だし
その後なんか俺興味ないわけ”
説教なんか聞いたところで、実際に行動をどうしていくかは若者次第です。
「俺」をはじめとする大人は若者を救いたいのではなく、ただただ説教をしたいだけなのです。
そこに、アドバイスもなにもありません。言いたいだけなのですから。
結局、他人がした分類などあてにはならず、それを自分自身の分類に当てはめてしまうことは愚かなことなのです。
この先君はどうしたい?
SEKAI NO OWARI「Habit」-作成:Fukase
ってヒトに問われる事自体
終わりじゃないと信じたいけど
そーじゃなきゃかなり非常事態
君たちがその分類された
普通の箱で燻ってるからさ
俺は人生イージーモード
ずっとそこで眠っててアラサー

ここでは、分類されて生きることがどれだけ愚かかが描かれています。
“この先君はどうしたい?”なんてセリフはよく聞きます。
しかし、こんな問いを他人から出される時点で、それはかなり危ない状況なのではないでしょうか。
“俺は人生イージーモード
ずっとそこで眠っててアラサー”
そして、多くのヒトはそんな分類の中でくすぶっています。
分類の外で生きる「俺」にとって、それは何ともありがたい話です。
言い換えれば、若者たちに「そんなアラサーにはなるなよ」と挑発的にメッセージを送っているとも取れます。
俺はそもそもスペックが低い
SEKAI NO OWARI「Habit」-作成:Fukase
だから足掻いて跪いて醜く吠えた
俺のあの頃を分類したら
誰の目から見ても明らか
すぐ世の中、金だとか、 愛だとか、
運だとか、 縁だとか
なぜ2文字で片付けちゃうの
ここでは、分類されないことで強く生きてきた「俺」の人生について描かれています。
もともとスペックが低いと語る「俺」、分類してしまえば明らかな「敗者」です。
しかし、自分を分類しなかった「俺」は、今こうして若者たちにメッセージを送る立場になっています。
“すぐ世の中、金だとか、 愛だとか、
運だとか、 縁だとか
なぜ2文字で片付けちゃうの”
「俺」がそうであったように、人生とは複雑なものです。
どんなにスペックが低くても、恵まれていなくても、人生を自分なりに楽しむ方法は無限にあります。
それなのに、2文字の決められた言葉で世の中をくくってしまうのはおかしいと「俺」は言います。
俺たちはもっと曖昧で
SEKAI NO OWARI「Habit」-作成:Fukase
複雑で不明瞭なナニカ
悟ったふりして驕るなよ
君に君を分類する能力なんてない
ここでは、自分を分類することなんてできない、ということが示されています。
ここまででも語られてきたように、ヒトは複雑で、分類なんてできやしないのです。
“悟ったふりして驕るなよ
君に君を分類する能力なんてない”
厳しいようで、確かなメッセージ。
「世の中こんなものさ。」なんて、悟ったふりをして諦めるのは簡単です。
しかし、自分で自分を分類できるほど、私たちはできた人間ではないのです。
2番サビ以降
俺たちだって動物
こーゆーのって好物
ここまで言われたらどう?
普通 腹の底からこうふつふつと
俺たちだって動物
故に持ち得る Original な習性
自分で自分を分類するなよ
壊して見せろよ そのBad Habit俺たちだって動物
SEKAI NO OWARI「Habit」-作成:Fukase
こーゆーのって好物
ここまで言われたらどう?
普通 腹の底からこうふつふつと
俺たちだって動物
故に持ち得る Original な習性
自分で自分を分類するなよ
壊して見せろよ その Bad Habit
壊して見せろよ その Bad Habit
繰り返しの歌詞であるため、解説は省略します!
考察
挑発に込められた真の優しさ

先にも言ったとおり、この楽曲には「若者たちへの優しさ」が込められています。
しかしながらこれは、優しい言葉をかけるという、表面的な優しさではありません。
むしろ歌詞を見ていくと、挑発とも取れるようなとげのある言動が目立ちます。
実は、ここに作詞者が思う、真の優しさが込められていると筆者は感じました。
“ここまで言われたらどう?
普通 腹の底からこうふつふつと”
歌詞でも描かれているように、この楽曲全体は、聴き手をイラっとさせるというか、「なぜそこまで言われなければいけないのか」という感情を芽生えさせるようになっています。
しかし、このように感じるのは、楽曲の指摘が割と図星だからなのではないでしょうか。
私達の何でもかんでも分類する癖、その中で自分自身も分類してしまう。
私達が気づかないうちにしてきた行為を事実として突きつけられ、それは間違っていると面と向かって言われたのです。
そりゃ、イラつきます。
しかし、イラつくからこそ、私たちは「やってやるよ!」と分類するという習慣について、深く考えさせられます。
挑発的な表現は、作詞者のメッセージをより強く私たちに印象付けるのです。
「俺」は私たちにやさしい言葉をかけるのではなく、むしろ自ら進んで悪役となることで、若者たちに分類してしまうという問題について考えさせたかったのではないでしょうか。
そして、これこそが作詞者の思う、「真の優しさ」だったと考えられます。
若者に向けた表現の数々
この楽曲では、若者に向けた楽曲であるからこそ使われた表現が数多くあります。
先ほど述べた、挑発的な表現も、若者に向けるからこそ効果的である表現の一つです。
確かに、年下にこの楽曲のようなことを言われても、「何言ってんねんこの若造が」で終わりです。
他にも、歌詞にも出てきた説教の話など、この楽曲に込められた「年上からのメッセージ」という前提もまた、一つの若者に向けた表現と言えるでしょう。
ここではもう一つ、歌詞の表記について触れたいと思います。
“モテないやつ
ヤッてないヤツ
出せないヤツ
イケないヤツ
陰キャ陽キャ”
これらの表現ですが、特に思春期の若者にとっては、敏感になる表現ではないでしょうか?
モテるモテないや陰キャ陽キャという表現は、現代において常に学校などで話題になっています。
他にも、ヤッてないをわざわざカタカナにするなど、少し下品というか、下世話な感じを思わせる表現もたびたび見られます。(あえて、深くは言及しません)
こういった表現は、若者、特に思春期の男女にとって、印象強いものではないでしょうか。
こういった言葉遣いの工夫もまた、若者へのメッセージをより強いものにするための構成であると考えられます。
筆者の感想
全く新しい形でのエールソングであると感じました。
直接的には優しい言葉がけはありません。
しかし、その裏には自分が嫌われてでも伝えようとする、本当の優しさが見えました。
余談ですが、作詞者であるFukaseは、コロナワクチン後の副作用である高熱の中、歌詞を書き上げたそうです。
極限の状態の中でこれほどまでに考えられた歌詞が書けるとは、天性の才能を感じずにはいられません。
見ていて、とても考えさせられる歌詞でした。
この記事の感想やご意見など、是非コメント欄までお待ちしております!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
それでは(@^^)/~~~
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